環境ビジョンのもとで、「脱炭素社会」の実現に向けて、「目標」とその目標を達成するための「アクションプラン」をまとめたものが、「カーボンニュートラルチャレンジ」です。
「カーボンニュートラルチャレンジ」の内容は、今後経営計画や年度経営計画に合わせて具体的な施策へ落とし込み、2027年度および2030年度目標達成に向けて実効性の高い活動を各分野で展開していきます。
相鉄グループの2024年度の海外含む連結CO₂排出量(Scope1、2)は153,100t-CO₂となり、2020年度比2.3%の増加となりました。
また、相鉄グループのCO₂排出量の約3割を占める鉄道業では、省エネ車両の導入や駅照明のLED化に努め、付帯設備も含めた原単位(車両1両1km当たりのCO₂排出量)は、基準年度比9%低減しています。
今後も引き続き省エネの取り組みを推進していきます。
省エネを気候変動における取り組みの最優先課題と捉え、計画的に進めています。
相鉄グループは、国内・海外の各拠点において気候変動やエネルギー使用量削減などに関する法律や規制(国内の場合は「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」や「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」など)や政策等を支持し、これらへの対応を適切に行っています。
相鉄グループは気候変動を重要な経営課題の一つとして認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明して、TCFD提言に基づく開示の枠組みを踏襲しつつ、ISSB(IFRS S2)への移行を見据えた開示に取り組みます。
気候変動により本分析の対象とする事業が直面するリスク・機会を抽出しました。
1.5℃シナリオでは、4℃シナリオに比べて「移行リスク」が強まり、脱炭素化に向けた温室効果ガスの排出などにおける法規制の強化、温室効果ガス排出価格の上昇による運営コストの増加が懸念されます。また、社会全体で環境配慮に対する意識が高まることにより、お客様もより環境負荷の少ない選択を行うようになり、さまざまな影響を及ぼすことを想定しています。
4℃シナリオにおいては、世界の平均気温は現在よりも上昇することで、「物理リスク」が強まることから、台風や洪水など自然災害リスクが著しく増加すると想定しています。

| 対象範囲 | 鉄道業(相模鉄道㈱)、バス業(相鉄バス㈱)、不動産賃貸業(㈱相鉄アーバンクリエイツ、㈱相鉄ビルマネジメント)、流通業(相鉄ローゼン㈱、相鉄ローゼンフレッシュフーズ㈱、㈱葉山ボンジュール) |
|---|---|
| 時間軸 | 2030年 |
| 選定シナリオと世界の変化 | 【1.5℃シナリオ】:世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑制するシナリオ
≪1.5℃シナリオで想定される世界の変化≫
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| 【4℃シナリオ】:世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて4℃程度上昇するシナリオ
≪4℃シナリオで想定される世界の変化≫
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| 参照情報 | 【1.5℃シナリオ】
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【移行リスクの影響】
鉄道業では、特に電力消費に関わる温室効果ガス排出コストや電力の調達コストが増加すると予想されます。
バス業では、軽油単価は下がると予想していますが、それ以上に軽油使用に関わる温室効果ガス排出コストの増加の影響が大きいこと、環境負荷がより少ない車両の導入を促すような規制が強化されることで既存車両の代替が必要になることによるコストの増加を見込んでいます。
不動産賃貸業では、鉄道業やバス業より影響は小さいものの、温室効果ガス排出コストが増加すると予想されます。また、環境規制の強化による既存物件および新規取得物件の改修コストの増加を見込んでいます。
流通業においても、温室効果ガス排出コストが増加することが予想されます。また、環境規制の強化による食料品などの仕入原価や包装資材コストの増加を見込んでいます。
| 分類 | 当社への影響 | 影響度 ※1 | 顕在時期 ※2 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 鉄道業 | バス業 | 不動産
賃貸業 |
流通業 | ||||
| 移行リスク
(主に1.5℃ シナリオ) |
政策・
法規制リスク |
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大 | 大 | 小 | 大 | 中期 長期 |
| 技術リスク |
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― | 中 | 小 | ― | 中期 長期 | |
| 市場リスク |
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― | 小 | ― | ― | 中期 長期 | |
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小 | 小 | 小 | 大 | 短期 中期 長期 | ||
| 評判リスク |
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※ | 中期 長期 | ||||
【物理的リスクの影響】
鉄道業では、防災・減災対策のためのコストの増加や、気温上昇による車内の空調コストの増加が予想されます。
鉄道業・バス業ともに運休が発生し、輸送人員数が減少することによる営業収益の減少が予想されます。
不動産賃貸業では、商業施設の営業停止による賃料収入の減少や気温上昇による慢性的な空調コストの増加が予想されます。
流通業では、気温上昇による空調コストの増加のほか、猛暑によってネットスーパーや宅配サービスの利用者が増加し、来店客数が減少することが予想されます。
| 分類 | 当社への影響 | 影響度 ※1 | 顕在時期 ※2 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 鉄道業 | バス業 | 不動産
賃貸業 |
流通業 | ||||
| 物理的リスク
(主に4.0℃ シナリオ) |
急性的 |
|
小 | 中 | 小 | 小 | 短期 中期 長期 |
| 慢性的 |
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小 | ― | 小 | 小 | 短期 中期 長期 | |
|
小 | ― | 小 | 小 | 長期 | ||
|
― | ― | ― | 大 | 短期 中期 長期 | ||
鉄道業では、再生可能エネルギーの普及や省エネ機器の技術開発が進むことによるコストの削減が実現できると予想しています。また、環境優位性が高い移動手段としての評価が高まり、自動車からの移行が進むことで輸送人員数が増加することを見込んでいます。さらに、災害対策の強化やBCPの見直しを行うことで鉄道の市場価値向上にもつながると考えています。
バス業では、気温上昇の影響によりこれまで徒歩で移動していたお客様がバスを利用する機会が増えることで、輸送人員数が増加することを見込んでいます。
不動産賃貸業では、ZEB仕様が標準化された場合、電力コストの削減や温室効果ガス排出コストの削減が見込まれます。また、環境性能の向上による管理物件の需要および賃料の増加につながると考えています。
流通業では、空調や冷蔵・冷凍ケースなどの省エネ機器の技術開発が進むことによるコストの削減が見込まれます。また、暑さ対策商品の品ぞろえや販売を強化することが売上の増加につながると考えています。
| 分類 | 当社への影響 | 影響度 ※1 | 顕在時期 ※2 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 鉄道業 | バス業 | 不動産
賃貸業 |
流通業 | |||||
| (主に1.5℃
シナリオ) |
エネルギー源 | 温室効果ガス低排出のエネルギー源の使用 |
|
小 | ― | 小 | 小 | 短期 中期 |
|
― | 大 | ― | ― | ||||
| 製品と
サービス |
温室効果ガス低排出商品およびサービスの開発・事業領域拡張/消費者動向 |
|
大 | ― | ― | ― | 中期 長期 | |
|
― | 小 | ― | ― | ||||
|
― | ― | 小 | ― | ||||
|
― | ― | ― | 小 | 短期 中期 長期 | |||
| 市場 | 新しい市場へのアクセス |
|
― | 中 | ― | ― | 中期 長期 | |
|
※ | |||||||
| レジリエンス | レジリエンスの向上 |
|
※ | |||||
|
― | 小 | ― | ― | 中期 長期 | |||
【環境負荷を低減するための各事業における取り組み】
事業への影響が大きいと特定したリスクと機会に対して、以下の取り組みについて検討を行います。
検討の結果、実現可能性が高い対応策として判断されたものについては、積極的に取り組みを推進しています。
【移行リスク】
鉄道業におけるCO₂総排出量(2021年度)のうち、99%は「電力使用に伴う間接排出」が占めています。これに対しては、電力消費量を削減するために、引き続き20000系や21000系などの省エネ車両の導入を進めるほか、駅ホーム照明のLED化などを進め、さらなる省エネルギー化に取り組んでいきます。加えて、再生可能エネルギーのさらなる導入に向けた検討にも取り組んでいきます。
また、バス業におけるCO₂総排出量(2021年度)のうち、96%は「軽油等の使用に伴う直接排出」が占めています。これに対しては、環境負荷の小さい低硫黄軽油の使用を継続し、EV・FCVの普及動向を見据えつつこれらの導入に向けた検討を進めていきます。
不動産賃貸業では、ZEB仕様が標準化された場合、電力コストの削減の効果が高い見込みとなっています。引き続き、費用対効果を考慮のうえ、管理物件のZEB化を検討していくとともに、設備改修による省エネルギー化を推進していきます。
流通業では、化石燃料由来のプラスチック包装資材の使用量の削減によるコスト削減効果が高い見込みとなっています。加えて、より省エネ性能の高い空調機器や冷蔵・冷凍ケースへの切り替えやデマンド管理による省エネルギー化を進めていきます。
【物理的リスク】
鉄道業・バス業ともに、異常気象の激甚化による風水害による影響が大きいと考えられます。これまでも訓練の実施などのソフト面、設備増強などのハード面の両面からさまざまな対策を実施してきましたが、TCFDフレームワークを用いた気候変動の影響分析結果を踏まえ、災害対応力や体制の強化を図るなど、さらなるリスク管理に努めていきます。
不動産賃貸業では、施設への浸水による営業停止や設備故障の影響が大きいと考えられます。一定水準の浸水被害を想定した止水板の設置などは実施済みではありますが、今後の西口再開発に向けて他の事業者様とも連携し、災害に強い街づくりを進めていきます。
流通業では、物理的リスクの大きな地域への立地は少なく、他事業に比べて影響は小さいものと考えられます。策定済みの災害対策マニュアルの周知徹底を図り、今後も事業の継続性の強化に努めていきます。
【機会】
鉄道もバスも、自家用車や航空機に比べると環境優位性が高い交通手段です。これを利用促進の機会と捉え、両事業とも「安全・安定輸送の確保」を礎に、「輸送サービスの充実」および「外出機会創出に向けた取り組み」を通じて運輸収入の増加、環境保全に貢献していきます。
不動産賃貸業では、物件の環境性能の強化による収益性の向上が期待できます。引き続き、物件の環境性能の強化に努めていきます。
流通業では、環境配慮型製品の展開、プラスチックごみの削減、リサイクルの推進による収益性の向上が期待できます。また、宅配サービスの拡充やネットスーパーの導入に向けた検討を進めていきます。
| 分類 | 鉄道業 | バス業 | 不動産賃貸業 | 流通業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| リスクへ
の対応 |
移行
リスク |
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| 物理的
リスク |
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| 機会の獲得 |
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【既存の取り組み事例】
グループ各社は環境負荷の低減に向けた取り組みを推進しています。既存の取り組み事例については以下をご参照ください。
相鉄グループでは気候変動による影響を重大なリスクとして認識し、環境負荷の低減に向けたさまざまな対応策の検討を「相鉄グループサステナビリティ委員会」と「相鉄グループサステナビリティ推進会議」が中心となり各事業会社と協働して行っています。
TCFD提言に基づく検討結果についても、グループ全体のサステナビリティの取り組みの基本方針その他重要事項の決議、業務執行の最終決定を行う取締役会に報告され、その内容について議論・検討を行っています。
相鉄グループは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進しています。直面する地球環境課題に対する取り組みとして、2024年2月に「相鉄グループ カーボンニュートラルチャレンジ」を策定し、脱炭素社会の実現のため、気温上昇を1.5℃に抑える水準を目指します。
この目標を達成するために、①これまでも継続的に取り組んできた「省エネ」のさらなる検討・推進 ②太陽光発電などをはじめとした「創エネ」の検討・推進 ③「再エネ(再生可能エネルギー)」の活用拡大の検討などを積極的に実施していきます。