相鉄グループは、企業による気候関連課題のみならず生物多様性、自然関連課題への対応についても世界的に要求が高まりつつあることを認識しています。これらを経営上の重要テーマと捉え「生物多様性の保全・回復」を取り組むべき 社会課題の一つとして設定しており、再資源化率の向上や環境汚染に配慮した施策の実施を通じて「自然環境負荷低減」を図っています。
相鉄グループは、生物多様性の保全が地域における豊かな自然の恵みの土台であり、事業活動の基盤であることを認識しています。将来にわたり豊かな自然の恵みを享受できるよう、様々なステークホルダーと協働し、生物多様性の保全と回復に向けた取り組みを推進します。
相鉄ホールディングス株式会社
代表取締役社長 加藤 尊正
2025年9月制定
※本方針は、2025年9月の取締役会において承認を得ており、代表取締役社長が署名しています。
2022年12月に開催された「生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)」において、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、生物多様性の損失を止め、反転させる「ネイチャーポジティブ」の方向性が明確に示されました。
相鉄グループは、企業による気候関連課題のみならず生物多様性、自然関連課題への対応についても世界的に要求が高まりつつあることを認識しています。これらを経営上の重要テーマと捉え「生物多様性の保全・回復」を取り組むべき社会課題の一つとして設定しており、再資源化率の向上や環境汚染に配慮した施策の実施を通じて「自然環境負荷低減」を図っています。また、環境方針の一つに「森林や生物多様性の保全」を掲げ、生物多様性・生態系保全に向けた取り組みを進めています。2023年9月にTNFD(「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures」自然関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言が公表され、世界的にTNFD提言に沿った開示対応が進んでいることを受け、相鉄ホールディングスは2025年9月に「TNFD Adopter」に登録しています。
相鉄グループでは、社会とともに持続的に成長するため、「次世代へつなぐ地球環境づくり」、「魅力ある地域の発展と共創」という環境関連の項目をマテリアリティとして掲げており、次世代につなぐ地球環境づくりに取り組んでいます。事業に関する自然関連課題を特定するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言に基づき、相鉄グループおよびバリューチェーン全体と自然との接点を分析、評価をし、相鉄グループの事業に関連するリスクと機会の特定・評価を行いました。
相鉄グループは、マテリアリティの一つに「次世代へつなぐ地球環境づくり」を掲げており、環境課題の保全の達成にむけ、グループ事業全体で「環境方針」を定め、環境保全に対する施策を進めています。取り組みを推進するためのガバナンス体制として、社長を委員長とした「相鉄グループサステナビリティ委員会」を設置し、自然関連課題を含む環境負荷の低減に向けた対応方針および実行計画などの審議、各種取り組み実績の総括・評価をしています。
これらの内容は、グループ全体に周知・指示する組織である「相鉄グループサステナビリティ推進会議」と、実務者レベルで個別課題を検討する「環境・エネルギー分科会」を通じて、グループ全体の戦略として落し込む仕組みになっています。また、相鉄グループサステナビリティ委員会での審議、総括・評価の結果を取締役会に上申し、常勤監査役及び社外監査役による監督を行っています。
相鉄グループでは「環境ビジョン」として、長期視点から目指す社会の姿として「自然共生社会」「脱炭素社会」「循環型社会」を掲げています。その実現には当社事業における取り組みだけでなく、バリューチェーン全体での環境保全に向けたエンゲージメントの推進が欠かせません。そのため、相鉄グループでは「ステークホルダーエンゲージメント」について、各ステークホルダーが抱く期待や事業との接点を整理した上で、対話を通じて目指すべき成果の分析、および関連するマテリアリティとの紐付けを実施しています。
また、相鉄グループでは事業に関わるステークホルダーの人権を尊重することは事業を継続する上で不可欠であるとの認識のもと、バリューチェーン全体における人権侵害を防止するため「相鉄グループ人権方針」を策定しています。特に重視する人権課題として「事業活動を通じた地域住民に安全で安心な生活環境や自然環境の提供」を掲げており、人権リスクの未然防止に向けた取り組みとともに、相鉄グループ全体で環境保全に取り組んでまいります。
相鉄グループでは、自然関連課題を特定・評価するため、TNFDガイダンスが推奨する「LEAPアプローチ」を採用しました。これにより、当グループの事業活動が自然資本に与える「依存」と「影響」、およびそれに伴う「リスクと機会」の分析・評価を実施いたしました。詳細なプロセスは以下の通りです。
本分析では、相鉄グループの主要4セグメント(運輸業、流通業、不動産業、ホテル業)に加え、「その他の事業」のうち特に自然との接点が大きいと考えられる熱供給事業、太陽光発電事業、浄水システム事業を対象として、自然資本に対する依存と影響、およびそれらに関連するリスクと機会の特定・評価を実施しました。
さらに、営業収益比率や当グループにおける事業の重要性を鑑み、運輸業と不動産業の2セグメントについては、分析範囲をバリューチェーン全体へ拡大しています。自社の直接的な事業活動にとどまらず、上流(サプライヤー等)から下流(廃棄段階等)に至るまでの依存・影響を網羅的に把握した上で、より深度のあるリスクと機会の特定を行いました。
相鉄グループの事業活動と自然との接点を把握するにあたり、「事業展開地域と生態系にとって重要な地域(センシティブな地域)との近接性」、および「事業活動による自然への依存・影響」という2つの観点から、外部の分析ツールや研究データを用いた評価を実施しました。
特に当グループが中心的な事業基盤を置く神奈川県央の相鉄線沿線は、自然環境との関わりが比較的大きいと考えられるエリアです。そのため、当該地域における自然の劣化状況や重要性を客観的に把握すべく、「IBAT」および「WRI Aqueduct」を活用した地域分析を行いました。
分析の結果、相鉄線沿線の各駅周辺において、「水ストレスが高い地域」および「生態系の十全性が高い地域」に該当するエリアは確認されませんでした。一方で、「生態系の保護区」については、一部の駅周辺で該当が確認されました。該当駅は以下の通りです。
しかしながら、当グループの事業活動がこれら周辺の生態系に与える直接的な影響は限定的であり、将来の事業活動に対する制約や、重大なリスクが顕在化する可能性は低いと評価しています。沿線に広がる豊かな自然環境を保全することは、相鉄線の沿線価値の向上に寄与する重要な要素であると認識しています。今後は、現在実施している環境保全の取り組みを継続・強化するとともに、事業活動に伴う自然への影響をさらに低減するための施策を推進してまいります。
| 路線名 | 駅名 | 要注意地域名 | IUCN 保護地域管理カテゴリー |
要注意地域と近接する拠点数 (重複する拠点数) |
|---|---|---|---|---|
| 相鉄本線 | かしわ台 | 清水寺公園 / 鳥獣保護区 | IV | 5(1) |
| 相鉄本線 | 相模大塚 | 泉の森 / 鳥獣保護区・特別緑地保全地区 | IV・V | 1 |
| 相鉄本線 | 希望ヶ丘 | 長屋門公園 / 鳥獣保護区 | IV | 5 |
| 相鉄いずみ野線 | 南万騎が原 | こども自然公園 / 鳥獣保護区 | IV | 11 |
また、連結子会社を含む国内外の全事業拠点を対象に、WRI(世界資源研究所)が開発した「WRI Aqueduct」を用いて水ストレスレベルを評価しました。
その結果、大半の拠点は水ストレスの低い地域に位置しているものの、海外の数拠点において「Medium」以上の地域に該当することが判明しました。これら該当拠点については、取水量の削減や排水への配慮を進めています。また、現在は水ストレスが低い拠点であっても、気候変動に伴う将来的な渇水や水害など、水関連リスクの増大が懸念されます。今後も継続的なモニタリングを実施するとともに、事業活動における水使用量の削減や効率的な利用を推進し、不確実な環境変化に対するレジリエンスを高めていく方針です。
全般的な水リスク
| 水リスク(OVERALL RISK※2) | 拠点数 | 割合 |
|---|---|---|
| Low (0-1) | 2 | 0.5% |
| Low - Medium (1-2) | 367 | 98.9% |
| Medium - High (2-3) | 1 | 0.3% |
| High (3-4) | 1 | 0.3% |
| Extremely High (4-5) | 0 | 0.0% |
| 合計 | 371 | 100.0% |
各事業活動における自然資本への「依存」と「影響」の分析にあたっては、国際的な評価ツールである「ENCORE」を活用しました。まず同ツールを用いて該当する事業活動における一般的な依存・影響度の評価を出力し、それをベースに当グループの具体的な事業実態を反映させることで、より実効性の高い評価へと精緻化を図りました。
具体的には、主要4セグメント(運輸業、流通業、不動産業、ホテル業)およびその他の事業のうち自然との関連性の高い3事業(熱供給事業、浄水システム事業、太陽光発電事業)における、各自然環境要素との依存・影響関係の度合いを分析し、その結果をヒートマップとして可視化しています。
さらに、特定のセグメントにとどまらず、グループ全体の事業活動を横断する重要な要素である「開発(用地取得)」についても、自然資本に及ぼす影響が大きい活動(直接的な土地利用の変化など)として個別に評価を実施いたしました。
分析の結果、当グループの事業活動における大きな特徴として、自然環境がもたらす「景観の提供への高い依存」と、事業に伴うGHG排出による影響」の2点が明確になりました。
分析対象をバリューチェーン全体に拡大した「運輸業」と「不動産業」の2セグメントにおいては、自社の直接操業の枠を超え、上流から下流に至る各プロセスにおいて、考慮すべき特有の依存・影響関係が判明しました。
これまでのステップで特定した自然資本への依存・影響関係を踏まえ、当グループの事業活動における自然関連のリスクと機会の特定および評価を実施しました。
リスク・機会の特定にあたっては、当グループのビジネスと関連性の高い自然資本が、将来的な社会環境や政策の変化においてどのように変容し得るかを考慮し、複数の将来シナリオを設定しました。このシナリオ分析を通じて、将来的に事業へ顕在化しうる移行リスクや物理的リスク、および自然環境の保全・回復を通じて創出される新たなビジネス機会について考察を行っています。
シナリオの設定にあたっては、「市場メカニズムおよび政策・規制の整合レベル」と「生態系サービスの劣化レベル」の2軸を組み合わせ、以下の4つの世界(将来シナリオ)を想定・分析しました。
#1 ネイチャーポジティブ推進シナリオ
国や自治体による環境保全の規制強化や施策が推進され、市場や企業の関心も自然環境へ向かうことで、生態系サービスの劣化が抑制され、ネイチャーポジティブが実現する世界。自然資本の保全・再生によって自然災害等の物理的リスクが軽減されるほか、事業活動に用いる水や木材などの原材料調達への制約も限定的となります。また、市場の環境意識の高まりを背景に、当グループの環境保全活動が正当に評価されるだけでなく、環境配慮型の製品・サービスに対する需要の増加(ビジネス機会の創出)が見込まれる。
#2 自然劣化対策推進シナリオ
地球規模での自然環境の劣化が進行する一方で、生物多様性の保全に向けた法規制や投資が急速に活発化する世界。自然災害の顕在化に伴う防災・減災コストが増加するとともに、さらなる劣化防止を目的とした厳格な環境規制が導入されることで、それらへの対応コストの増加に直面する。
#3 自然劣化激化シナリオ
社会全体で自然環境への対応が十分に行われず、生態系の劣化が一途を辿る世界。自然災害の頻発化・激甚化による拠点やインフラの被災リスク、さらには自然資源の枯渇に伴う原材料・資材価格の高騰といった深刻な物理的リスクが顕在化する。その一方で、法規制の整備や市場の関心は限定的にとどまるため、企業が自発的に行う環境保全の取り組みが市場やステークホルダーから十分に評価されにくい環境となる。
#4 後回しシナリオ
気候変動対策など他の社会課題への対応が優先されるものの、その副次的効果によって生態系サービスの劣化スピードが比較的緩やかにとどまる世界。自然資本そのものの保全に対する法規制や市場の関心は薄く、グループとしての直接的な取り組みも注力されにくいため、自然環境は本質的に不安定な状態が続きます。結果として、中長期的にリスクが徐々に顕在化する可能性をはらむ。
上記のシナリオ分析を通じて、相鉄グループの事業において想定されるリスクと機会を特定しました。さらに、特定した各リスクの重大性を客観的に判定するため、以下の2つの要素を評価軸として、リスク間での相対的な比較および影響度の評価を実施しました。
顕在化の可能性:将来の世界において、そのリスクが実際に発生する確度
事業・財務への影響:リスクの要因となる自然資本と当グループの事業活動との結びつきの深さに加え、実際にリスクが顕在化した際に相鉄グループ全体の事業に及ぼす影響の大きさを総合的に勘案した指標
これらを総合的に勘案・スコアリングし、グループ全体として優先的に対処すべき重大なリスクの絞り込みを行っています。今後は評価結果の開示に向け、評価の精緻化と実効性の向上を図ります。
| リスクのタイプ | 自然との接点 | リスク項目 | 主にリスクが想定される事業 | バリューチェーン段階 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 移行リスク | 政策・規制 | 自然景観 | 新しい駅舎やホテル、商業施設を建てる際、デザインや高さなどに厳しい制限が生じ、計画の見直しや将来の収益機会が減少する。 | 運輸業、ホテル業、不動産業 | 上流・直接操業 |
| 事業からの排水 | 排水管理に関する基準が厳格化されることで、新しい排水設備の導入や操業プロセスの見直しなどが発生する。 | 全事業 | 直接操業・下流 | ||
| GHG排出 | 炭素税や排出権取引制度の強化により、排出量削減に向けた新しい取り組みのためのコストが増加する。 | 全事業 | 直接操業 | ||
| 大気汚染物質排出 | 大気汚染防止法の高度化に伴い、排気設備の導入や更新など、設備投資額が増加する。 | 運輸業、流通業、その他事業 | 直接操業 | ||
| 廃棄物処理 | 廃棄物処理費用の高騰により、処理コストが増加する。 | 全事業 | 直接操業・下流 | ||
| 有害物質 | 車両製造に使用する塗料やバッテリー等の管理規制が厳格化し、価格に転嫁される。 | 運輸業 | 上流・直接操業 | ||
| GHG排出 | 炭素税の導入により、化石燃料由来の電気料金が高騰し、操業コストが高騰する。 | 全事業 | 上流・直接操業 | ||
| 全て | 環境関連の情報開示が強化された場合、対応コストが発生する。 | 全事業 | 直接操業 | ||
| 市場 | GHG排出 | 再生可能エネルギー需要の高まりにより、電気料金が高騰する。 | 全事業 | 上流・直接操業 | |
| 全て | 環境性能表示未対応物件や、周辺自然環境が整備されていない土地の需要が低下する。 | 不動産業 | 直接操業 | ||
| 技術 | GHG排出 | EVやエネルギー効率のいい車両などの導入によるコストの増加。 | 運輸業、流通業 | 上流・直接操業 | |
| 評判・賠償責任 | 土地の改変 | 路線の敷設による周辺生態系への悪影響による企業イメージの低下 | 運輸業 | 直接操業 | |
| 全て | サプライヤーの環境への悪影響による、評判の低下 | 全事業 | 上流・直接操業 | ||
| 騒音 | 騒音による生態系への悪影響および近隣住民からの批判。 | 運輸業、流通業、その他事業 | 直接操業・下流 | ||
| 外来種の導入 | 外来種の侵入による観光事業のイメージの低下。 | 運輸業、ホテル業 | 直接操業 | ||
| 土壌・水質汚染物質 | 車両や不動産の廃棄時にPCBやアスベストなど有害物質の漏洩により評判が低下し、賠償問題に発展する。 | 運輸業 | 直接操業・下流 | ||
| 光の反射 | 太陽光パネルの反射による、生態系への悪影響および近隣住民からの批判。 | その他事業 | 直接操業 | ||
| 物理リスク | 急性 | 暴風雨 | 異常気象の被災による、物流の停滞。 | ホテル業、流通業 | 上流・直接操業 |
| 取水 | 渇水に伴い、水を使用する事業が制限される。 | ホテル業、流通業、その他事業 | 直接操業 | ||
| 気温上昇 | 気温上昇による出控えにより、観光市場が縮小する。 | 運輸業、ホテル業、流通業 | 直接操業 | ||
| 慢性 | 木材資源の利用 | 木材不足により、木材の価格が高騰する。 | 不動産業 | 上流・直接操業 | |
| 気候調整・変動 | 気温上昇により、屋外の施工に制限がかかり、工期が伸びる。 | 不動産業 | 上流・直接操業 | ||
| 自然の減少 | 動植物の減少による自然観光を目的とした旅行需要が減少する。 | 運輸業、ホテル業 | 直接操業 | ||
| 機会のタイプ | 自然との接点 | 機会の内容 | 主に機会が想定される事業 | バリューチェーン段階 |
|---|---|---|---|---|
| 資源効率 | 取水 | 雨水やリサイクル水の使用により、水コストを軽減することができる。 | 不動産業、ホテル業 | 直接操業・下流 |
| 廃棄物処理 | 廃棄物削減、資源循環(サーキュラーエコノミー)の取組みによる廃棄コストや資材コストを軽減することができる。 | 流通業、不動産業 | 上流・直接操業・下流 | |
| 製品とサービス | GHG排出 | 再生可能エネルギー需要の拡大による、収益機会の増加 | 太陽光発電業 | 上流・直接操業 |
| 全て | 景観保全活動により、環境認証を取得した不動産の価値が向上する。 | 不動産業 | 直接操業 | |
| 市場 | GHG排出 | モーダルシフトの推進により、バス・鉄道運送需要が増加する。 | 運輸業 | 直接操業 |
| 自然景観 | 周辺の自然環境の整備により、沿線の不動産価格の向上や商業施設の利用が増加する。 | 不動産業、運輸業 | 直接操業 | |
| 気候調整・変動 | 気温上昇に伴い、屋内商業施設の利用が増加する。 | 不動産業 | 直接操業 | |
| 資金フローと資金調達 | 全て | バリューチェーン全体を通じた自然保全に資する取組みの推進を通じ、サステナビリティファイナンスへのアクセスしやすくなる。 | 全事業 | 上流・直接操業・下流 |
| 評判 | 騒音・振動 | 防音壁の設置や振動の低減により、周辺地域に配慮された鉄道として企業イメージが向上する。 | 運輸業 | 直接操業 |
| 全て | グリーン調達を通じた環境負荷の低い製品の使用による環境リスクの低減により、企業イメージが向上する。 | 流通業、ホテル業 | 上流・直接操業 | |
| GHG排出 | 環境負荷の低い車両や再生可能エネルギーの導入により、企業イメージが向上する。 | 運輸業 | 直接操業 | |
| 全て | 適切な情報開示により、顧客の選好性拡大や投資家の評判が向上する。 | 全事業 | 直接操業 | |
| 生態系の保全と再生 | 土地の改変 | 路線の高架化によるレールキルの防除や水害の回避など、物理的な被害を回避することができる。 | 運輸業 | 直接操業 |
| 土地の改変 | 路線の高架化により、周辺の騒音対策や高架下の活用など、生活利便性の向上や、地域コミュニティの活性化に寄与することができる。 | 運輸業 | 直接操業 | |
| 木材資源の利用 | 植林活動の推進により、地域のブランド価値向上や、将来的な木材価格の高騰を抑制することができる。 | 不動産業 | 上流・直接操業 | |
| 自然景観 | 相鉄線沿線の豊かな自然環境を活かした体験事業が拡充する。 | 不動産業、運輸業 | 直接操業 | |
| 天然資源の持続可能な利用 | 木材資源の利用 | 木造建築の増加により、資材由来の環境負荷が低減する | 不動産業 | 直接操業 |
今後は、評価対象とするバリューチェーンの範囲を他の事業セグメントへも順次拡大していくとともに、自然資本の保全・回復からもたらされる「機会」に関する評価項目についてもさらに分析を拡充し、より包括的かつ実効性の高いリスク・機会管理の構築を検討してまいります。
依存と影響の大きさ、リスクと機会の分析および財務的に重要な事業・事業拠点数を考慮した結果、相鉄グループにおいては神奈川県央に位置する相鉄線沿線一帯を優先地域として特定しました。
相鉄線沿線周辺の豊かな自然環境の保全は、沿線の住みやすさに直結し、ひいては相鉄グループの沿線価値向上に寄与するものと認識しています。今後は、特定した優先地域における自然環境の状況や変化を継続的に注視・分析するとともに、ネイチャーポジティブに資する具体的な保全活動を推進し、地域とともにある自然共生社会の実現を目指してまいります。
相鉄グループでは、これまでの評価プロセスを通じて特定した自然関連リスクを低減し、新たな事業機会を的確に捉えるため、事業のレジリエンス性を高める対応策の強化を推進しています。
具体的な取り組みの策定にあたっては、SBTNが推奨する行動の枠組み「AR3Tフレームワーク」に則り、自社の施策を体系的に整理しました。自然資本への及ぼす負荷の「回避(Avoid)」および「低減(Reduce)」、生態系の「回復(Restore)と再生(Regenerate)」、そして持続可能な社会への「変革(Transform)」という4つのアプローチに基づき、実効性のある対応策を展開してまいります。
| AR3T分類 | 取り組み分類 | 取り組み詳細 |
|---|---|---|
| Avoid 回避 | 法規制の遵守 | ・物件建築時の国・自治体の景観規制の遵守 |
| 情報開示 | ・統合報告書を通じた環境保全や地域住民との取り組みの開示 | |
| 生態系のモニタリング | ・バイオーム社との共同による「そうてつ生き物クエスト2026」の開催 | |
| Reduce 軽減 | 騒音対策 | ・路線の防音壁の設置 ・ロングレールの導入 ・路線の高架化 |
| 環境負荷の低減 | ・PCB、アスベストなどの適切な管理 ・EVバス、ハイブリッドバス、ディーゼルエンジンバスの導入 |
|
| 資源投入量の削減 | ・リサイクル水の利活用システムの導入 ・新築不動産の国産木材の利活用 |
|
| Restore 復元 Regenerate 再生 | サーキュラーエコノミーの推進 | ・土地の有効利用/生態系の直接的な保全/サーキュラーエコノミーの推進/周辺環境の整備 ・SAF、コンポストの導入 |
| 環境保全活動 | ・相鉄フレッサインの寄付プラン「緑の募金」の導入 ・商業施設へのビオトープの設置 ・高架下の有効活用 |
|
| Transform 変革 | 新しい収益機会の創出 | ・パークアンドライドサービスの推進 ・ZEH、木造マンションの普及 ・太陽光発電事業の拡大 ・サステナビリティファイナンスの活用 |
| 地域プログラム | ・グリーンアクションプログラムの推進 ・園芸博(green expo 2027)の推進 |
相鉄グループでは、事業活動が自然資本に及ぼす「依存と影響」を適切に把握し、顕在化しうるリスクへ的確に対応するため、グループ全体で統合的なリスクマネジメント体制を整備しています。
自然関連リスクの特定・評価にあたっては、「LEAPアプローチ」に基づく分析を実施しています。外部ツール(ENCORE等)による一般的な評価結果を参考にしつつ、当グループ直接操業およびバリューチェーンの具体的な事業実態を反映させることで、各リスクおよび影響の重要性を客観的かつ精緻に評価しています。
分析により特定された依存・影響およびリスクは、既存のガバナンス体制に統合され、一元的に管理されています。具体的には、「相鉄グループサステナビリティ委員会」および「相鉄グループサステナビリティ推進会議」が中心となり、各事業会社と緊密に協働しながら、環境負荷の低減に向けた多様な対応策の検討・推進を行っています。
また、TNFD提言に基づくこれらの一連の検討結果は、グループ全体のサステナビリティ基本方針をはじめとする重要事項の決議、および業務執行の最終決定を担う「取締役会」へ報告されます。取締役会において多角的な議論・監督が行われることで、自然関連課題がグループ全体の経営戦略へと確実に落とし込まれる仕組みを構築しています。
今回のLEAPアプローチのステップを通じて評価した自然への依存と影響を踏まえ、当グループにおける自然関連のリスク・機会、ならびにその評価プロセスについて継続的な見直しを実施し、今後も実効性の高い対策に取り組んでまいります。
TNFD提言にて推奨されている開示指標である「グローバル中核指標」では、環境に係る項目が設けられています。相鉄グループでは、廃棄物発生量と水使用量の把握を進めており、実績を下記にまとめています。今後、その他の指標についても、相鉄グループにとっての重要指標の検討や、対象データの収集に取り組んでまいります。
相鉄グループでは、環境課題に対する指標と目標として、マテリアリティごとに非財務指標(KGI・KPI)を設定し、昨年度実績と中長期目標の双方を統合報告書にて開示しています。
| 指標 | 目標(2030年度) | 2024年度実績 | バリューチェーン区分 | 測定指標番号 | |
|---|---|---|---|---|---|
| KGI | CO₂排出量 ※1 (Scope1・2) | 42%削減 | ▲2.2 % | 直接操業 上流 | ー |
| モニタリング 指標 | 廃棄物使用量 ※2 | ー | 10,600 t | 直接操業 | C2.2 |
| リサイクル率 ※2 | ー | 78.9 % | 直接操業 | C2.2 | |
| 水使用量 ※3 | ー | 2,433 千㎥ | 直接操業 | C3.0 |